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ニュージーランド産緑イ貝から抽出された脂質による関節炎改善の可能性

小動物臨床 2005 Vol.24 No.5

犬の関節疾患に対する緑イ貝抽出脂質(GMEL)の臨床応用

本郷久仁治1, 藤井真由美1, 島田健次郎2

  1. 本郷獣医科病院(京都市)
  2. 協和発酵工業
要約

ニュージーランド産緑イ貝から抽出されたLipid(以下GMEL)には関節の滑膜の炎症を抑制する作用が認められ関節炎の改善に優れた効果をもたらすと言われている。今回、脊髄疾患、関節疾患で疼痛、跛行および四肢の麻痺などの症状を示した患犬にGMELを体重10Kgあたり1~2粒を1日1~2回に分けて投与し、臨床症状を観察した。脊髄疾患は腰麻痺(6頭)、頚椎変形症(4頭)のものに投与した。投与後2~30日に効果発現がみられ、腰麻痺では66.7%、頚椎変形症では75.0%に症状の改善がみられた。関節疾患は股関節炎(24頭)、肘・肩関節炎(4頭)のものに投与した。投与後3~14日に効果発現がみられた。股関節炎では87.5%、肘・肩関節炎では100.0%に症状の改善が見られた。投与経過中にはとくに認めるべき副作用はなかった。比較的良好な改善効果を得たのは関節疾患であり、サプリメントとして臨床応用への有用性が高いことが示唆された。