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学会・研究発表

マイタケ抽出脂質含有クリームの乾皮症改善および保湿作用

2008年5月14日(水)〜17日(土)に京都国際会館で開催された第5回国際研究皮膚科学学会で、マイタケ抽出脂質含有クリームが皮脂産生を促進し、乾皮症患者の症状改善と健常者の保湿を向上に有効であることが報告されました。

第5回 国際研究皮膚科学学会

マイタケエタノール抽出物含有クリームによって改善された健常者および乾皮症患者の皮膚バリアー機能

長尾美枝1、佐藤隆2、伊東晃2、松崎茂3、高橋雅夫1,4

  1. 株式会社ハイマート、〒103-0027 東京都中央区
  2. 東京薬科大学薬学部、生化学・分子生物学教室、〒192-0392 八王子市
  3. 東京都八王子市吉井中央診療所、〒370-2132 群馬県多野郡
  4. Immuno Research Ltd.、ニュージーランド、オークランド
目的

乾皮症(乾燥肌)では、皮膚に鱗屑、亀裂、侵食、肥厚が認められ、それらの結果、皮膚のバリアー機能が低下する。さらに、多くの乾皮症患者で、不快な痒みや痛みが現れる。したがって、低下した皮膚のバリアー機能を構造的・機能的に改善することができれば、乾皮症の治療につながり、さらには、患者の生活の質を向上させるものと期待される。また、皮脂腺から分泌される皮脂には、皮膚にバリアーを形成し生理機能を維持するという重要な役割がある。我々は、Grifola frondosa(マイタケ)子実体のエタノール抽出物(Gripin®と名付けた)にハムスター脂腺細胞で皮脂産生促進作用があることをin vivoおよびin vitroで発見し、マイタケ抽出物が乾皮症に有効な治療手段になり得ると考えた。そこで本研究では、0.2%マイタケ抽出物含有クリーム(マイタケクリーム) (舞潤®, MaiJun) (Fig. 1)を乾皮症患者(60名、中度から重度)の下腕内側および下腿、健常者の下腕内側に塗布し、臨床での効果を検討した。

グリピンクリーム

Fig 1. マイタケクリーム

被験者と実験方法

試験開始時の登録患者は、乾皮症患者60名(男性25名、女性35名、75-97歳)、および健常被験者15名(男性6名、女性9名、23-63歳)であった。乾皮症患者で1日1回1週間にわたり0.2%マイタケクリームを塗布できたのは12名、1日1回5週間にわたり0.2%マイタケクリームを塗布できたのは35名であった。一方、健常被験者では、全員4週間(28日)にわたって0.2%マイタケクリームを1日3回塗布できた。治療効果の基準は、乾皮症患者では皮膚の落屑の度合い、健常被験者ではCorneometer CM825PCで測定した皮表の皮脂量および角質層の水分量とした。

結果
  1. 乾皮症患者に0.2%マイタケクリームを1週間塗布したところ、下腿および足背の鱗屑や亀裂が改善した(Fig. 2)。また、多くの患者で臨床的な改善が認められた(Table 1)。
  2. 0.2%マイタケクリームを5週間塗布した乾皮症患者では、[A]下腕(18名36部位、p<0.01)、および[B]下腿(17名34部位、p<0.05)で、重度から中度や低度への症状改善が認められた(Fig. 3)。
  3. 0.2%マイタケクリームを1日3回28日間、下腕内側に塗布した健常被験者では、角質層の水分量 (<80%) (Table 2)、および、皮表の皮脂量(data not shown)が増大した。
  4. 0.2%マイタケクリームによる皮膚の水分量および皮脂量の増大は、塗布開始の翌日には観察され、4週間の試験期間中持続していた(Fig. 4)。
グリピンクリームの乾皮症に対する効果
Fig 2. マイタケクリームの乾皮症に対する効果
乾皮症患者の下腕および下腿における症状の改善
Table 1. 乾皮症患者の下腕および下腿における症状の改善
乾皮症患者におけるグリピンクリームの長期使用効果
Fig 3. 乾皮症患者におけるマイタケクリームの長期使用効果
グリピンクリーム塗布によって増大した健常被験者の角質層水分量
Table 2. マイタケクリーム塗布によって増大した健常被験者の角質層水分量

グリピンクリーム塗布によって増大した健常被験者の角質層水分量および皮表皮脂量

Fig 4. マイタケクリーム塗布によって増大した健常被験者の角質層水分量および皮表皮脂量

結語

マイタケエキスは皮脂線における皮脂産生促進作用に加え,真皮でのヒアルロン酸合成を促進することで,肌本来の保湿や保護機能を高める働きがあるものと期待される.