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学会・研究発表

マイタケ抽出物によるノビレチンの血管新生抑制作用および腫瘍形成抑制作用の増強

2008年5月14日(水)〜17日(土)に京都国際会館で開催された第5回国際研究皮膚科学学会で、マイタケ抽出物がノビレチン(ポリメトキシフラボノイド)の血管新生抑制作用および腫瘍形成抑制作用を増強することが報告されました。

第5回 国際研究皮膚科学学会

マイタケ抽出物がノビレチン(ポリメトキシフラボノイド)の血管新生抑制作用および腫瘍形成抑制作用を増強することが報告されました。

佐藤隆1、長尾美枝2、高橋雅夫2,3、伊東晃

  1. 東京薬科大学薬学部、生化学・分子生物学教室、〒192-0392 八王子市
  2. 株式会社ハイマート、〒103-0027 東京都中央区
  3. Immuno Research Ltd.、ニュージーランド、オークランド
目的

薬草に含まれるフラボノイドには、腫瘍の血管新生や浸潤、腫瘍細胞の増殖を抑制して、腫瘍の進行を妨げるという薬理作用がある。我々は、以前、柑橘由来のポリメトキシフラボノイドであるノビレチン(5,6,7,8,3’,4’-hexamethoxy flavone)(Fig.1)が、in vivoおよびin vitroにおいて腫瘍浸潤や腫瘍形成を抑制することを報告している。また、Grifola frondosa(マイタケ)水抽出物は、免疫系を強化して抗腫瘍作用を発揮することが報告されている。しかし、ノビレチンおよびマイタケエタノール抽出物の血管新生抑制作用については、不明であった。そこで本研究では、ノビレチンおよびマイタケエタノール抽出物(Gripin® (Fig. 2)と名付けた)が、ヒトメラノーマ細胞(MeWo)およびヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)の増殖に及ぼす影響について調査を行った。

結果
  1. ノビレチンは、用量依存的にHMVECの管腔形成を阻害した。一方、マイタケ抽出物は、HMVECの管腔形成に何ら影響を及ぼさなかった(Fig. 3)。また、ノビレチン、マイタケ抽出物のどちらにも、試験された濃度でHMVECに対する細胞毒性は認められなかった(data not shown)。
  2. HMVECをノビレチンおよびマイタケ抽出物の両方で処置すると、ノビレチンの管腔形成抑制作用が増強された(Fig. 3)。
  3. ノビレチンは、わずかではあるが有意に、且つ、用量依存的にヒトメラノーマ細胞(MeWo)の増殖を抑制した。一方、マイタケ抽出物は、メラノーマ細胞の増殖にごくわずかしか影響を及ぼさなかった(Fig. 4)。
  4. ノビレチンとマイタケ抽出物を組み合せると、腫瘍細胞の成長が相乗的に抑制された(Fig. 4)。
グリピンによって増強されたノビレチンの血管新生抑制作用
Fig 3. マイタケ抽出物によって増強されたノビレチンの血管新生抑制作用(HMVECの管腔形成にて)

グリピンによって増強されたノビレチンの腫瘍増殖抑制作用

Fig 4. マイタケ抽出物によって増強されたノビレチンの腫瘍増殖抑制作用(ヒトメラノーマ細胞にて)

実験方法

血管新生の分析
37 ℃で凝固させたECMatrixTM (Millipore, MA, USA)にヒト皮膚微小血管内皮細胞(HMVEC)(Kurabo, Osaka, Japan)を播種してから、マイタケ抽出物(100-400 mg/ml) (Fig. 2) 存在下もしくは非存在下で、ノビレチン(8-32 mM) (Shaanxi Huike Botanical Development, Shaanxi Province, China)で16 時間処置した。細胞間ネットワーク(管腔形成)を倒立光学顕微鏡40倍率で観察し、管腔形成の定量化は、使用説明書に従いパターン認識法を用いて行った(値: 0-5)。この数値は、血管新生の進行の程度に相関する(Table 1)。各wellから5つの部分を無作為に選び写真を撮影して、得られた値の平均値を求めた。

細胞増殖の分析
ヒトメラノーマ細胞(MeWo) を96穴マルチプレートに播き(1 x 104 cells/well)、完全に接着するように24 時間培養した。マイタケ抽出物(400 mg/ml)の非存在下および存在下で、その細胞をノビレチン(8-32 mM)でさらに24 時間処置し、最後の3時間はAlamar blue reagent (Biosource International, CA, USA)で培養した。使用説明書に従って、細胞に取り込まれたAlamar blueの蛍光を励起波長560nm、検出波長590nmで測定した。

統計分析
データを平均±標準偏差(SD)で表し、一元配置分散分析(ANOVA)で解析した。多重解析にはFisher testを用い、p<0.05で統計的有意差ありとした。

管腔形成のパターンとその値

Table 1. 管腔形成のパターンとその値

結論

ノビレチンは、血管内皮細胞の管腔形成を抑制して、血管新生抑制作用を発揮する。さらに、マイタケ抽出物とノビレチンの組み合わせは、血管新生および腫瘍形成を抑制するので、メラノーマに対する癌治療の新規臨床戦略として有用であると期待される。